研究課題
APECサミット開催にあわせたロシア極東開発計画の進展を左右する諸条件を、(1)中口経済相互依存関係の変容(特に国境貿易を通じた木材加工を中心とする相互依存関係の変容)、(2)ロシア政府の極東開発への実行可能性(開発計画及び地方財政)、(3)ロシア極東の人手不足を補う外国人労働者誘致の可能性(なぜ出稼ぎ労働者はロシア極東を敬遠するか)、という3点の検証のために、本年度は、まず(1)については、特に、中露国境地域との比較対象となるフィンランドとロシアとの間の国境地域における木材貿易の現状について、現地調査を行った。特に、堀江と雲は、東フィンランド大学カレリア研究所の協力を得て、フィンランド側企業2社、ロシア側企業1社の訪問調査を実施するとともに、カレリア研究所および森林研究所(METLA)とのセミナーを開催し、研究交流を行った。また、研究分担者の辻と高屋は、中国黒龍江省においてヒヤリング調査を実施し、現地調査を行った。黒竜江省とロシア極東地域との間の木材経済関係を詳細に分析し、現地調査の成果を十分に反映した成果を論文および研究発表などで発信した。また、高屋は、この現地調査を生かして、東北三省の食糧生産・加工・流通と地域協力の必要性に関する研究成果を論文として公表した。(2)については、堀内が連邦主導のロシア極東開発がどのように進展しているかについて、現状分析を行い、その開発予算の枠組みについても研究を進めた。(3)については、ロシア極東の人手不足を補う外国人労働力の分析においては、雲がロシアの人口減少・出生率問題について詳細な研究を行い、論文および学会報告においてその成果を発信するとともに、堀江はロシア極東地域の農業部門における中国人労働力の活用の問題という新たな問題にチャレンジし、その成果を論文および学会において発表している。
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