平成22年度の当該研究は、昨年度の研究基盤の整備、研究協力機関とのネットワーク形成を踏まえて現地における各国専門家に依頼し、実態調査をAPUの科研研究者と共に実施した。また、本年の主要テーマである東南アジア一村一品運動の動向と農村起業家の実態について研究ワークショップを開催し、その成果を確認した。個別的には、タイでは研究協力を依頼したチェンマイ大学の研究者が現地調査を実施し、北タイ地域の農村起業家の実態をとりまとめ、インドネシアでは現地滞在のジェトロ専門家による「一村一品運動の実態報告を作成、マレーシアではマレーシア・プトラ大学(UPM)研究者による「一地方一工業」(SDSI)の政策報告書のとりまとめ、フィリピンではビジネス関係NGOのPBSPによるフィリピン一村一品と農村工業について現地レポートをそれぞれ作成している。これら現地調査活動のため、タイでは夏田が、フィリピンでは藤本、インドネシアとマレーシアについては井草が調整を行い現地研究者と共同で現地調査を行っている。これらの成果は既述のワークショップに反映させ、Proceedingsの形で印刷刊行し関係者に広く配布した。 また、研究代表者である井草は、今回の調査を前提に、10月にはマレーシア工科大学での学術セミナー及びUPMでの国際セミナーAGREX10でプレゼンテーション、12月には「一村一品国際セミナー」およびアジア生産性本部(APO)による「一村一品セミナー」でそれぞれ調査成果を発表、1月にはカンボジア政府の委嘱で同国の一村一品運動推進のための諮問会議に出席するなど、今回の調査結果の成果普及、政策助言などを行っている。また、夏田は現地研究者と共に、主としてタイの事例について最終報告につながる論文を執筆中である。 最終年である平成23年度は、これらを踏まえ調査の補強を行うと共に、新たな視角も加えた課題文責を行い最終調査発表につなげる予定である。
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