研究概要 |
平成23年度の当該研究は、昨年度集中的に実施した現地調査、セミナーなどを前提に、課題である東南アジアの一村一品運動と農村企業家の実態について、さらに内容を深め補強を行い、結果を総括して内外の研究者への参考に供するための報告書として仕上げることに重点をおいて調査研究活動をおこなった。個別的には、マレーシアとインドネシアを担当した井草は、5月と9月に現地を訪問、研究協力者と打合せながら補強調査を実施。特に、インドネシアについては9月にインドネシア国スマラン市で開催されたRRPG(Rural Research and Planning Group"セミナーに参加、調査成果を発表するとともに、意見交換を行った。タイについては、担当の夏田がチェンマイ大学を訪問、カウンターパートと調査の補強を行うとともにワークショップ原稿の改訂、最終報告作成にあたった。この最終報告は、目下、カナダの学術雑誌に掲載すべく推敲中である。また、調査協力者である藤本は、フィリピンのカウンターパートとの研究調整を行い、上記同様に、昨年度末のフィリピン報告の不備を調整、補強作業を行った。これらの調査結果は、一昨年のインドシナ諸国でのワークショップ報告(APOによるラオス・セミナー・井草が参加)の幾つかの資料を加え、最終報告"The OVOP Movement and Rural Entrepreneurs in Southeast Asia"(2012年3月刊)として印刷刊行、関係者に配布した。また、アジア及び日本の「一村一品運動」を総括するものとして、2005年度にアジア経済研究所との共同研究「開発途上国と一村一品運動」(アジ研双書)を英文化、'The OVOP Movement and Local Development in Asia"(2011年12月刊,256p)として、同じく印刷・刊行、関係者への配布を行っている。これら二つの英文刊行物によって、当初、課題として設定した東南アジアの一村一品運動と農村企業家の実態分析について、日本のみならず課題を共有するアジアの研究者達に一定の学術的貢献がなされたものと考えている。
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