研究課題
本研究は中国山村地域における経済開発及び環境保全の実態と今後の展望を事例調査研究によって明らかにしようとするものである。改革開放政策以来中国では格差問題や環境問題が生じている。農村地域では、農地転用と減少、農薬の残留、工業排水による河川汚染、植生破壊による水土流出や洪水多発、水不足による砂漠化が進行している。とりわけ山村地域では、貧困の解消、医療や介護の充実、居住空間の整備などが焦眉の課題となっている。そこで「和諧社会」が唱えられ、階層格差の縮小、産業開発と環境保全の調整が目指されている。本研究では、こうした中国山村地域の問題状況及び貧困脱出と環境再生との調和的発展を目指す社会構造の変容を数次にわたって調査実証する。初年度である平成21年度は、研究代表者及び研究分担者の調査打ち合わせを数回開催して、4年間の調査の全体と平成21年度の調査計画を検討した。それを踏まえて平成21年9月と平成22年3月との2回の現地調査を実施した。第1回の調査では、中国河北省平山県における調査対象の候補地を視察し、また河北省社会科学院との国際シンポジウムに参加して、調査に必要な情報を収集した。第2回の調査では、調査対象地を平山県温塘鎮北馬塚村に決定するとともに、県、鎮、村の各レベルにおける各種機関代表者に対するヒアリングを行い、対象地の概況把握に務めた。また、北馬塚村の個別農家5戸に対するインタビュー調査を実施した。その結果、対象地では、鉄鉱石の鉱山開発による利益を村民の生活水準の向上のために還元するとともに、レジャー施設や観光農園などの新たな事業開発によって、さらに経済発展を進めていこうと山ていることが明らかとなった。第2年度になる平成22年度も引き続き現地調査を実施する予定である。
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