本研究は、デジタル化とグローバル化という社会的文脈において、10年後には世界を担う中心となるデジタル・ネイティブと呼ばれている現代の子供/若者とメディアの多様なエンゲージメント(関与)を明らかにし、英・米・日におけるエスノグラフィックな調査からグローバル社会におけるメディアの社会・文化的役割を考察するものである。 平成21年度は主に英国・米国でのプレフィールドワークや国際会議などでデジタル・ネイティブに関する意見交換や情報収集を行った。具体的たは、7月にオックスフォード大学サイードビジネススクールで開催された学会に招聘され、イギリスの研究者たちと若者とメディアに関する意見交換を行った。8月にはハーバード大学、オックスフォード大学などと打ち合わせおよび資料収集を行い、9月には英国ウェストミンスター大学で開催された"Transforming Audiences 2"の学会で"The Mode of Audience Engagement"について発表を行った。10月には第10回国際インターネット学会AoIRにおいてパネリストとして招聘され、"Mobile Phone and Everyday Life"について発表を行い、アメリカの研究者などと意見交換を行った。 一方国内では、日本における小学生から大学生を対象としたエスノグラフィックな調査を行った。また、8月には名古屋大学において第63回東海地区大学図書館協議会研究集会で「デジタル・ネイティヴの情報行動」について、また、12月には立教大学において私立大学連盟加盟東京13大学広報研究会にて「デジタル・ネイティブのコミュニケーション」に関して招待講演を行った。3月26日からはオックスフォード大学教育学部の客員特別研究員(visiting research fellow)として、日本で行った調査データをもとにイギリスにおいてエスノグラフィーを行う予定である。
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