研究課題/領域番号 |
21402032
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
長坂 格 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (60314449)
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研究分担者 |
小ヶ谷 千穂 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (00401688)
鈴木 伸枝 千葉大学, 文学部, 教授 (70412731)
関 恒樹 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (30346530)
高畑 幸 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (50382007)
矢野 泉 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (00276867)
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キーワード | フィリピン / 移住 / 教育 / 第1.5世代 / ライフヒストリー / 主体化 / 家族・親族 |
研究概要 |
本年度は、次のような調査研究を実施した。長坂は海外研究協力者3名の調査実施を支援しつつ、8月~9月に4週間、イタリア、ローマで第1.5世代への聞き取りを実施し、「家族」イメージの世代間での違いが彼らの特異な移動経験と深く関わるという知見を得た。小ヶ谷は、9月に10日間、カナダ、トロントで、台北から移住したフィリピン女性たちに呼び寄せられた子どもへの聞き取りを実施した。母子関係やフィリピンに残されている父親との関係の複雑さの解明が1.5世代研究の重要な課題となるという知見を得た。鈴木は、3月に2週間、アメリカ西海岸の移動経験を持つ大学生を対象に聞き取りを実施するとともに、学生組織の集会において研究成果報告を行った。関は、カリフォルニア州サンフランシスコ周辺のコミュニティカレッジで、第1.5世代に、社会階層的背景、本人の進路に関する希望、第2世代に関する印象等に関する聞き取りを実施した。高畑は、日本における1.5世代の聞き取りを随時実施するともに、2月に浜松市内において「フィリピンから来た子ども達先輩後輩交流会」を企画・運営し、調査対象者と同様の経験をした子ども達との交流など、彼らのエンパワーメントにつながりうる活動を展開した。矢野は、横浜市のユーラシア文化館における展示「フィリピンの文化と交易の時代」を立案するなかで、来館するフィリピン系の子ども達へのまなざしについての聞き取りを実施した。3月に最終研究報告会を開催し、各自の調査研究成果および残された課題についての討論をおこなった。全体として、異世代間の「家族」イメージおよび移住経験の差異と交錯、ネオリベラル多文化主義の潮流における主体化プロセスなど、多様な移住先におけるフィリピン系1.5世代の生のあり方に関する重要な論点の抽出や、いわゆるアクションリサーチの導入の可能性に関する議論がなされた。
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