平成22年度は、アルゼンチンにおいてデモが多発し、特にブエノスアイレスの空港と都心部をつなぐ、唯一の道路が占拠される事態がしばしば発生、そのため、メキシコとブラジルにて調査を実施した。また、年度末のブラジル行き直前に東日本大震災が発生し、現地では関係者が日本との対応に追われる状況で、これも想定外の事態であった。しかし、ブラジルは日系人口150万人を擁し、日本の被災地等と直接関係のない人々も多いため、調査活動じたいに支障はなかった。 メキシコでは、メキシコ国立自治大学を中心として、日系対象者にパーソナリティテストと面接調査をスペイン語で実施し、男性12名、女性14名の資料が得られた。一方、ブラジルでは、サンパウロ大学等において、パーソナリティテストのポルトガル語版を施行し、面接をスペイン語で実施した結果、男性11名と女性9名の資料が得られた。また、メキシコ精神医学研究所やブラジル日本移民資料館での探索により、必要資料の集積を進めることができた。 さらに、比較をするための、日本側の大学生資料を整える作業を進め、ほぼ計画した数量の資料を準備することができている。現地での面接を通じて、やはり、日系大学生においては上昇志向が強く、意欲的傾向が見られることが明確になりつつある。他方、日本の若者において相対的に意欲が低い面が、統計資料の上でも、また、他の領域で指摘される点からも、本計画における基本発想が裏付けられてきていると考えられる。
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