本年度は、日本教育経営学会第50回大会(6月)において本研究のそれまでの成果について発表した。すなわち、1.19世紀末を起源として全米で6つの地域ごとに創設され発展してきた各学校認証評価機関の歴史的展開、および活動の内容を整理し、各協会の独自性および共通性などについて明らかにした。2.6つの地域協会の活動における近年の動向を、現地調査で得られたデータに基づいて学校改善支援という観点から明らかにした。とくに、2006年に北中部および南部の地域協会の統合的組織として設立されたAdvancEDについては研究大会への参加観察内容をもとに、その活動内容の特徴を明らかにした。3.以上を踏まえた上で、特に「評価」から「学校改善支援」の強化への転換を意図したAdvancEDの活動に注目して、学校認証評価をめぐる最近の動向について考察した。 これらの成果から、各州によって異なる動向を示しているアカウンタビリティシステムと学校改善政策が、それぞれの州における学区・学校認証評価の学校改善にとっての意味を強く規定しているということが示唆された。そのため、学校改善支援への強い指向性をみせているAdvancEDの対象エリアである南部地域および北中部地域の諸州からフロリダ州、ミシシッピ州、ジョージア州、ミシガン州を抽出して、学区教育委員会および個別学校に対する現地訪問調査を実施した。その際、各州におけるアカウンタビリティシステムと学校改善政策の様相を踏まえたうえで、各学区教育委員会および個別学校レベルにおいて、学校改善支援と学校認証評価とがどのようにしてつながっているのか、その有効性はどうなのか、などについて、関係者の聴取りを実施した。
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