研究課題
本研究は、乾燥地域の塩類アルカリ土壌における無機体炭素動態の解明、乾燥地生態系における無機プロセスによる炭素吸収、及び広域での無機プロセスによる炭素固定予測のための検討であり、これらを通して地球レベルでの炭素循環における'missing carbon'の解明を目指すものである。中国タクラマカン砂漠の中国科学院新彊地理生態研究所アクスフィールドステーション敷地内に、60m×60mの塩類アルカリ土壌固定調査地を設け、10m間隔の各メッシュ交点において土壌サンプリングを行い、無機体炭素量、有機体炭素量、電気伝導度、pH、BD、土壌水分量等を深さ30cmまで10cm間隔で測定した。土壌表面の分光反射特性も各メッシュで測定した。固定調査地の中央には、2009年9月から渦相関システムを設置し、乾燥地アルカリ土壌における大気炭酸ガス濃度の連続測定を行っている、二年を超えるデータが収集され、現在解析中である。さらに、携帯型地表面CO2ガスフラックス測定装置を用いて、タリム川沿いにおける異なる土壌被覆タイプによる地表面CO2ガスフラックスを測定し、リターで被覆された箇所では高いCO2放出が確認されたが、塩類集積箇所では日平均で極めて低いCO2放出を示し、僅かながらCO2吸収が確認された。また、室内でのIncubation実験により異なる土壌水分と塩類アルカリが土壌CO2ガスフラックスに及ぼす影響を調べた。塩類アルカリ土壌における無機体炭素量、有機体炭素量、電気伝導度、pH、BD、土壌水分量等と、土壌表面の分光反射特性との間には経験的な関係性が見られており、これらの結果は塩類アルカリ土壌の炭素収支評価の基礎的情報となり得る。
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Environmental Earth Sciences
巻: 65 ページ: 11-20
DOI10.1007/s12665-011-1060-6
Journal of Arid Land
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Journal of Arid Land Studies
巻: (In press)