研究課題
本研究は、地上からの南北共役点観測が地球上で唯一可能である利点を最大限活用し、オーロラの形状や動き、発光強度とスペクトルを高精度で同時観測し、南北半球間の対称性・非対称性の特性を定量的に明らかにする。そして、非対称性を起こす原因を太陽風-磁気圏-電離圏相互作用の観点から探ることにより、オーロラ発生機構の本質を解き明かすことを目的としている。平成23年度は、2011年8月22-30日(期間(1))に1名が、9月2-10日(期間(2))に3名がフッサフェル観測点で、9月4-11日(期間(3))に2名がチョルネス観測点で観測を行った。期間(1)では、8CH掃天フォトメータ(SPM)の不具合対策と新シーズンスケジュール組込みてナイトビュア型全天TVカメラ(ATV)自動運用システム導入、簡易型全天TVカメラ(Watec)自動運用システム更新と前シーズンのデータ回収、フラックスゲート磁力計のレベルとアライメント調整、インダクション磁力計ゼロレベル調整などを行った。昭和基地との間の共役点観測期間(9-10月、3-4月)には、ATVのビデオ動画データ記録が自動で出来るようになった。期間(2)では、MF/HF帯オーロラ電波観測装置(ARS)のメンテナンスと改良、干渉計アンテナ設置候補地の下見や周辺の電磁環境の計測、および全天単色イメージャ(CAI)のメンテナンスと運用などを行った。期間(3)では、Watecシステムのメンテナンスと運用、前シーズンのデータ回収、ネットワークルータの更新などを行った。2012年2月25日-3月4日(期間(4))には1名が両観測点とアイスランド大学を訪問し共同研究打合せを行った。フッサフェル観測点においては、観測機器のコンテナ小屋への移設を計画しているが、今年度は、コンテナ小屋用の安定化電源やネットワークケーブルの購入、小屋内の前室作成、などを行った。2011年9月9、10、11、27、30日、10月1日には、昭和基地との間での同時観測データが取得出来、解析を進め、学術雑誌に1編の論文投稿がなされ受理された。
2: おおむね順調に進展している
プロトンオーロラと電子オーロラのスペクトル観測を目的とした8CII掃天フォトメータや、長期間自動観測可能なWatec全天TVカメラシステムの導入など、現場観測機器やシステムの高度化は計画通りに進めてきており、SuperDARNレーダーとの同時観測データや、昭和基地との同時観測データなどのイベント数も増えてきている。
チョルネス観測点では、ATV(高感度全天TVカメラ)自動観測システムを導入することにより、昭和基地との間でのより高時間分解能での脈動オーロラ同時観測を可能とする。フッサフェル観測点では、観測機器のコンテナ小屋への移設を進め、より安定した観測条件を整える。国内においては、これまで得られたデータの解析を進めると共に、汎用性・一般性のある解析システム・環境の整備を進める。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件) 学会発表 (39件)
Geophys. Res., Lett
巻: 39
10.1029/2012GL051205
Geophysical Research Letters
巻: 117
doi:10.1029/2011JA017291
AGU Monograph
巻: (in press)
The Dynamic Magnetosphere, ed.by W.Liu and M.Fujimoto
ページ: 39-45
Journal of Geophysical Research
巻: 116
10.1029/2010JA016.156
10.1029/2010JA016174
10.1029/2010JA016206
巻: (submitted)
Annales Geophysicae
巻: 29 ページ: 2031-2043
10.1029/2010JA016155
巻: 29 ページ: 551-562
10.1029/2010JA015827