研究概要 |
平成21年7月から平成23年7月までの夏季および冬季にモンゴルの首都ウランバートル(UB市)において計5回の大気の測定を実施した。ウランバートル市内および郊外の4定点で揮発性有機化合物(VOCs),20定点でのppbレベルの測定を行った。市内20ケ所のVOCs平均濃度は、冬季で285ppb、夏季で240ppbである。大気中のVOCsは,市内の定点4地点の道路では高濃度のベンゼンやトルエンを検出した。トルエンの濃度は、冬季よりも夏季は4~5倍程度高い傾向にある。冬期には、大気粉塵や降雪をサンプリングし石炭燃焼による煤煙の影響を主に調査した。降雪のICP分析の結果4.9ppmのCdと4.6ppmのAsを検出した。粉塵濃度測定の結果、夏季は0.01~0.08mg/m3、冬季は0.13~0.41mg/m3であった。 これまでにUB市の大気は、日本の環境基準をはるかに超えた高濃度の揮発性有機化合物(VOCs)を含んでいることを明らかにした。さらに、冬期の降雪の化学分析を行った結果、水銀、カドミウム、鉛、ヒ素、クロム等の有害な重金属を検出した。さらに市内の数十か所で水道水の水質の分析を行った。平成21~23年度のこれら3年間のデータを分析し、ウランバートル市の環境汚染マップを作成し大気汚染状況の可視化を行っている。 平成22年度の大気調査によりウランバートル大気中に水銀が含まれていることを明らかにした。その後の3回の調査により冬季水銀濃度は、約5(ng/m3)であり夏季よりも高いことを実証した。大気中水銀濃度のマーカーとして市内の街路樹のマツに注目し、定点でのマツの葉の中の水銀濃度の調査も実施した。
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