パプアニューギニアの山間部の未舗装道路は、気候、地形条件が厳しく整備が進まない。沿線に住む人々の生活社会基盤であるものの、稗益者数が少ないこと、整備基準を高く設定するため予算不足と判断されるために、放置されている。 1年目(平成21年度)に選定した対象道路は、急峻な地形と渡河部の橋の損傷のため、車両が走行できない状態であった。2年目(平成22年度)で橋の架設に向けた橋台の設置について、現地調達可能材料を利用し人力で実施可能な方法として「土のう」の適用性を検証し技術移転を行った。その後コミュニティによる作業が継続され橋台が完成した。 3年目(平成23年度)では、丸太を利用した橋桁、横桁設置に向け技術指導を行い、架橋が完了した。さらに、渡河部以外の全長約2kmの範囲の通行性改善に向けた対策(盤下げ、平面移動距離を伸ばし勾配を減少させるためのう回路の設置)を提案した。その後コミュニティによる作業が行われた結果、車両の通行が可能となった。 そこで道路整備活動の道路沿線コミュニティへの社会的影響、意識変化を評価するため、インタビュー調査を実施した。道路整備による便益を得ていることが明らかになった。 本研究を通して、以下の2点が山間部未舗装道路の通行性を改善することに有効であると言える。 1.現地調達可能材料を利用しかつ人力で実施可能な効果的な道路整備手法の技術開発し、移転すること 2.新たに移転された道路技術が、現地コミュニティ在来の地縁技術とともに地域固有の人員動員方法を通して道路整備に適用されること 本研究で確立された未舗装道路整備アプローチは、コミュニティの持続的な道路整備活動と、通行性改善による社会経済活動の活性化につながる。その普及は、パプアニューギニア現地問題を現地の人々で解決することになり貧困削減につながると考えられる。
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