研究概要 |
中国北西部乾燥地における灌木によるダスト発生抑止の妥当性,後で述べる植被が存在する地表面からのダスト発生量予測モデルの改良を試みた。ダスト発生予測モデル研究班は,3つの課題,(1)植物のフェノロジーおよび植生量に関する調査,(2)松岡モデルに必要な,葉面積指数と植物群落が吸収する運動量関係を表すパラメータの決定,(3)木村モデルに必要な,葉面積指数と地表面が吸収する運動量からダスト発生量算出に必要なパラメータの決定,に分かれて研究・調査を実施した。 (1)瀋陽農業大学庫倫観測点(中華人民共和国内蒙古自治区庫倫旗)と中国科学院砂漠研究所張掖観測点(甘粛張掖市)で観測を行い,実測した植生量の年変化を運動量輸送のバルク輸送係数で表すことができることを示した(天野他,2011)。また,ALOSのデータから求めた当該地のバイオマス量と実測した(Liu et al.,2011)。 (2)庫倫観測点の観測結果から,LAIとバルク輸送係数には一次的な関係があり,この観測点付近の植物群落(Caragana spp.)は。葉だけでなく,枝茎による運動量吸収があるため,ダストが発生する3月にも,ダスト発生抑止効果を持つことが示された(天野他,2011)。 (3)張掖観測点の付近の風速変化とダスト発生量の関係から,植生の少ない場所のダスト発生の臨界摩擦速度を決定し,必要なパラメータも決定した(Mohamed et al.,2011)。 来年度は,(2)と同様な観測を張掖観測点で,(3)と同様な観測を庫倫観測点で行い,植生量の大小にかかわらず成立する松岡モデルや木村モデルのパラメータ決定を決定する予定である。
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