研究課題
本年度の現地調査は7月下旬~8月中旬にかけて、中国雲南省北西部(香格里拉県)、四川省南西部(郷城県~理塘県)、および四川省北西部(石渠県~甘孜県~炉霍県~小金県)にて実施した。キク科Ligularia属を中心に、Cremanthodium属など、100を超える試料を得た。加えて、四川省南西部ではL.virgaureaに焦点を当てた詳細調査も実施した。四川省最北西に位置する石渠県は植生が単調で特定の種が見られるのみであったが、雲南省香格里拉地区ではL.nelumbifoliaとL.subspicataの雑種が見つかるなど、新たな展開もあった。採集した試料の成分分析およびDNA解析は順次実施している。並行して昨年度までに採集した試料の解析を実施した。その中で、L.cyathiceps、L.hodgsonii、およびL.oligonemaについて研究成果をまとめることができた。L.cyathicepsは調査した範囲では雲南省香格里拉地区にのみ生育が確認された種で、遺伝的にも化学成分においても均質であることが判明した。本種からはcacalolおよびその生合成前駆体と考えられる9-oxofuranoeremophilane誘導体が主成分として得られた。同地域に分布するL.tsangchanensisと似た成分構成であり、進化の過程で何らかの関連があったことが示唆される。L.hodgsoniiは日本と中国に分布する種で、形態的に日本産と中国産で違いが見られ、DNA解析でも両者の差が大きいことが判明したが、化学成分では中国雲南省産と日本産はいずれもfuranoeremophilane誘導体を産し、共通性が高いことがわかった。L.oligonemaからは新物質を得るとともに、複雑な進化過程を示す結果が得られた。以上に加え、L.duciformisなどに関しても学会を通じて成果を公表した。また、研究グループのホームページを作成し、公開した。
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