研究課題
本年度の現地調査は7月下旬~8月中旬にかけて、中国四川省北部(理県~阿〓県~紅原県~若尓蓋県)、青海省久治県、および甘粛省南部(碌曲県~合作市~臨潭県~隴南市~文県)にて実施した。キク科Ligularia属を中心に87試料を得た。甘粛省方面では、期待に反し、植物の種類に限りがみられた。しかし、その中でL.virgaureaでは多くの試料を得、ただちに行ったTLCによる簡易分析では従来の試料とは異なる多様性が認められるなど、新たな展開があった。L.brassicoidesでも複数の試料を得、同様に化学成分における種内多様性の存在が示唆された。並行して昨年度までに採集した試料の解析を実施した。Ligularia属では2組の形態的類似種、すなわちL.lamarumとL.subspicata、およびL.anoleucaとL.veitohianaについて研究成果をまとめることができた。L.lamarumとL.subspicataは分類上互いに近い種で、違いは舌状花の有無のみであるが、成分分析およびITS領域の塩基配列の解析の結果、これらの指標において両種は互いに区別できないことが判明した。成分ではフラノエレモフィランを生産するタイプからその前駆体であるエレモフィラン-8-オンを生産するタイプまで、違いは連続的であった。L.anoleucaとL.veitohianaも形態的に互いに良く似た種で分類上も近いが、成分分析およびDNA解析の結果、両者は明確に異なることが判明した。また、L.virgaureaを題材とし、質量スペクトルによって成分の種内多様性を簡便に記述する方法を開発した。一方、Salvia属の成分研究ではS.przemalskiiの成分分析の結果、アビエタン骨格から10位のメチル基が5位に転位した新規骨格を有する化合物を得た。以上について研究グループのホームページを更新した。
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