研究課題
本年度の現地調査は、昨年度までの研究成果を踏まえ、Ligularia属の分布域の東端にあたる四川省中部地域を詳細に調査した。具体的には、四川省康定地区および美姑県を中心とする成都盆地の西側を調査した。キク科Ligularia属を中心に56試料を得、これまでにない大型種を採集するなど、他では得られない収穫があった。攀枝花市の格薩拉地区では植生が雲南省中甸地区に近いことを確認した。Eupatorium属、Salvia属、Iris属なども採集した。並行して昨年度までに採集した試料の解析を実施した。L. virgaureaの試料を分析した結果、前回報告したligularol生産型、virgaurenone生産型に加え、cacalol生産型、hydroxyeuryopsin生産型、およびneoadenostylone生産型の合計5つのケモタイプが存在することを明らかにした。DNA解析では3つのクレードに分類でき、cacalol生産型とhydroxyeuryopsin生産型、virgaurenone生産型とneoadenostylone生産型はそれぞれ同一のクレードに属していた。また、フラノエレモフィランから誘導されたと考えられる種々の骨格を持つ化合物が多く得られ、それらの生合成経路について推定した。一方、雲南省中甸地区で採集したL. nelumbifoliaとL. subspicataの雑種4試料からはいずれもフラノエレモフィラン化合物が得られた。これはフラノエレモフィラン非生産種が生産種に進化する過程の解明につながると期待される。また、Cremanthodium属などについても一部の種で成分とその多様性についての成果をまとめた。以上について、9月と3月に研究報告会を実施して成果を共有するとともに、研究グループのホームページを更新した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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