平成22年度は、太平洋海域であるミクロネシア・ヤップ島周辺の水深0-40mの海域において、8月24日から29日の期間に採集調査を行い、海綿・腔腸などの海洋無脊椎動物を中心に113検体の海洋生物サンプルを採集することができた。研究チームは研究連携者である北海道大学水産学部酒井隆一教授のグループと合同で結成し、日本水中科学協会に所属するプロダイバーに潜永作業の安全確保を依頼した。また、海外の共同研究先であるオランダライデン大学から海綿の生物学を専門とする研究者を招へいしてチームに加え、海洋生物のフィールドにおける生態調査を担当させた。実際の作業としては、調査対象とした海洋生物について、陸上でサンプル番号を付けた状態でスチル撮影して記録に残し、水中での生態写真があるものは陸上で付けたサンプル番号をもとに整理した。さらに、調査場所および調査風景についても、水中スチル写真および水中ビデオ撮影を行って記録に残した。調査採集した海洋生物サンプルについては、帰国後研究室内で属・種名同定用サンプルを作成するとともに、アルコールにて抽出・濃縮後、水とクロロホルムで二層分配して、それぞれの層を濃縮して、それぞれを水溶性および脂溶性画分とした。得られた各画分をスクリーニング用の抽出物サンプルライブラリーとし、これらに対して細胞毒性・酵素阻害・細胞分化制御・抗原虫等の各種生物活性試験を開始し、採集サンプルに含まれる有用成分の分析を行っている。
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