研究概要 |
日韓が協力して行った「釜山新港周辺の環境汚染に大きく影響を与えている有機物(浮遊物・堆積物)の循環に関する現地調査」および「流れ場(底生系と浮遊系および干潟の浄化機能を考慮した生態系モデル)のシュミレーション」結果から,建設に伴って予想される環境リスクの現状を把握した.この解析結果から水環墳の修復を必要な海域を特定し,「ヘドロ化した海底泥質の効率的な封じ込め方法,河岸堆積泥の浄化方法」(開発,特許化済)を現地対象海域へ適用するための室内実験を開始した.釜山新港建設のための埋め立て後,強閉鎖性海域となった竜院湾奥海域を環境修復実験域とした.この海域において効率的に底質改善を行うために必要な現地実験を計画し,来年度以降に現地実験を行うための調整を始めた. 一方,広島湾において,有用二枚貝の生息やヘドロの浄化のための地盤内の浸透力を高めるための「しかけ(浸透層,エコ地盤材,エコブロック)を造る」ための現地実証実験を開始した.干潟環境再生のための実証実験として,アサリ再生では浸透層が有効に働き,アサリの棲息が不可能であった河川干潟においてアサリの成長,定着が確認された.干潟環境再生実験により「しかけを造る」ための個々の技術に必要な基本性能を明らかにできた.さらに,様々に異なる環境化において形成された3箇所のヘドロ干潟において現地調査を実施し,それぞれの地形,流れ場,有機物負荷の特性を明らかにした.来年度これらの物理的,化学的特性に合った干潟再生技術の適用法を検討するために必要な基本結果が整理された.
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