日韓が協力して行った「釜山新港周辺の環境汚染に大きく影響を与えている有機物(浮遊物・堆積物)の循環に関する現地調査」および「数値計算による流れ場の再現と有機泥の輸送機構の数値実験」結果から、釜山新港建設のための埋め立て後、強閉鎖性海域となった竜院湾奥海域を環境修復実験域として選定した。この海域において効率的に底質改善を行うために必要な現地実験を計画し、平成24年度以降に現地実験を行うための西部海域の環境再生(底質改善)プロジェクトを立ち上げた。 本プロジェクトを実行するために、日本で先行して実施されている堆積有機泥の性状の異なる2つの海域における底質改善実証実験結果を参考にして、本海域に適した底質改善法を提案している。 本研究の最終的な目標は近代化するアジア諸国でヘドロ問題に対処できるヘドロ浄化技術を確立することであるが、日本と韓国で共同開発した技術をアジア諸国に発信する場を韓国釜山で得ることができた。 具体的内容:釜山新港の埋め立てにより強い閉鎖性となった竜院湾ではすでに有機泥の堆積が深刻化しつつあり、水質、底質環境の悪化が進行し、底質改善が必要な状態にある。しかし、日本の技術の海外での事業化では明確な方針と確実な成果が求められる。新港開発においても環境改善事業を進めるために、まず、竜院湾での底質環境改善が効果的に行われる実績が必要となる。本研究では竜院湾での底質環境改善の実証実験へ向けた方針を示すことを目的として、釜山新港(竜院湾)の流れ場や底質のヘドロ化の状況を把握し、日本で先行して行われている底質環境改善の成果を参照して、対象海域における事業計画を提案した。
|