研究課題/領域番号 |
21404015
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三浦 孝一 京都大学, 工学研究科, 教授 (40111942)
|
研究分担者 |
河瀬 元明 京都大学, 工学研究科, 教授 (60231271)
中川 浩行 京都大学, 環境科学センター, 准教授 (40263115)
蘆田 隆一 京都大学, 工学研究科, 助教 (80402965)
長谷川 功 京都大学, 工学研究科, 助教 (20346092)
|
キーワード | 褐炭 / 改質 / 炭鉱 / 採掘 / 前処理 / 環境対策 / 自然発火 |
研究概要 |
本研究は、アジア、オセアニア地域の褐炭産炭地における採掘、前処理、環境対策等の現況を調査することを目的している。本年度は、研究代表者、分担者に加え、他大学研究連携者、企業研究者らが、ベトナム北部のRedRiverDeltaBasinにあるNaDongBrownCoalMine社を訪れ調査を行った。RedRiver地域の石炭埋蔵量は2100億トンと豊富で、炭層は100シームあるが、そのうち工業的には21シームが採炭可能である。ベトナムでは、石炭は発電用およびセメント製造用などに使用されている。同社の炭鉱の石炭埋蔵量は約1億トンで、年間生産量は約55万トンである。露天掘りの炭鉱であり、産出する石炭は高硫黄分であるため脱硫が大きな課題とされている。タイの褐炭炭鉱などと同様に選炭を行っていないことが一因と考えられる。生産した石炭は隣接する110MWの発電所に供給し消費されている。発電装置には循環流動層ボイラ(CFB)が用いられ、CaCO3を添加して乾式脱硫を実施しているが、高硫黄分のため課題が多いという。また、廃水が高い酸性となることも問題視されている。その他、石炭研究者が在籍するハノイ工科大学を訪れ、低品位炭利用技術について情報、意見交換を行った。ベトナムからは、日本の大学、企業などに低品位利用技術に関する協力が要請され、まずはベトナムで産出する石炭の詳細分析を日本側の大学で実施する協力を開始している。これら調査の他の活動として、タイにおいて、褐炭利用に関するセミナーを開催し、海外研究協力者であるJGSEEのメンバーらと情報、意見交換を行った。タイのJGSEEの研究協力者とは、昨年度からタイの褐炭を用いた前処理に関する研究を共同で実施しており、今年度も引き続き共同で研究を進めた。また、研究代表者が、中国等で開催された石炭に関する国際会議に参加し、石炭に関する最新の技術を調査した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査研究開始時点で海外研究協力者がいたタイの褐炭炭鉱調査に始まり、調査研究を進める中の人的交流によって他国の石炭研究者の協力を順調に取りつけることができたことによって、インドネシア、ベトナムの炭鉱を調査することができ、さらに本年度はモンゴルの炭鉱調査まで実施予定である。このように当初計画していた複数国への調査を海外研究協力者を増やしながら問題なく進めることができていると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は、豊富な石炭埋蔵量で近年世界的に注目を集めるモンゴルにおいて、褐炭炭鉱を訪れ、調査を行う計画である。これまでの調査結果と対比させ、産炭地における採掘、前処理、環境対策における課題を整理していく。
|