研究課題
研究初年度である平成21年度は、ガンジスカワイルカの保護に益する生態に関する知見を得るための長期音響観測に先がけて、2009年6月から、伊豆三津シーパラダイスでの飼育環境下でのハンドウイルカの長期リアルタイム生態音響観測を開始。観測データのうち、Web.カメラからの情報、ハイドロフォン2個で録音された10kHz-20kHzまでの可聴音データおよびイルカの2次元位置情報については、リアルタイムで以下のURLから世界中に発信している。http://asian-underwater.jpn.org/dolphin/dolphinpool伊豆三津というアクセスしやすい身近な観測場所での機器やソフトウエアの調整結果を基に、2009年11月より、インドナローラにおいてガンジスカワイルカの総合的長期リアルタイム生態音響観測を開始、以来、長期観測は現在も継続して行われている。ナローラのガンジスカワイルカの観測では、2008年1月に開発した十字型6素子アレイをナローラの定点観測地点に設置、半径約100m範囲での高密度定点観測をおこない、イルカのクリック音を録音して水中3次元位置情報を求めている。取得したデータのうち、イルカの2次元位置情報については、携帯電話のモデムシステムを利用したインターネット接続により、リアルタイムでサーバーに送信し、専用ソフトウエアをインストールしたPCのGUI画面上で見ることができる。また、インド側の協力研究者であるWWFインディアの現地観測員が、音響観測と並行してイルカの目視観測を行っており、音響観測と目視観測を総合化することで、観測終了後には、ナローラ地区に棲息するガンジスカワイルカの詳細な水中行動解析を進める。さらに、2009年1月に開発したコンパクト4素子アレイを十字型6素子アレイから約200m以内の範囲に展開し、川の上流から下流を毎日往来するイルカの方位と距離を計測する試験を2009年11月、インド滞在中の数日間に行い、結果について解析を進めるとともに、ソフトウエアの向上を進めている。これまでの観測結果解析から、ガンジスカワイルカは強い指向性を持つため、イルカがハイドロフォンアレイの方を向いていない場合にはクリック音を録音できない事が分かっている。このため中心となる十字型6素子アレイシステムの周囲に複数のアレイ装置を配置した総合的システムを構築するものであり、本総合的長期生態観測システムの導入により、川を行き来するイルカの頭数を漏れなく推定することができると期待される。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件) 備考 (1件)
超音波テクノ Vol.22, No.2
ページ: 15-22
Journal of Acoustic Society America Vol.127, No.1
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Proc.UT2009, Wuxi, China
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海洋音響学会2009年度研究発表会講演論文集
ページ: 97-100
第21回海洋工学シンポジウム講演論文集
ページ: OES21-155
ページ: OES21-125
Proc.Oceans2009 Biloxi
http://asian-underwater.jpn.org/dolphin