研究概要 |
サンプル採集旅行として2010年8月27日~9月4日中華人民共和国の新彊ウイグル自治区へ出かけた.現地では,新彊医科大学皮膚科学教室のホイ教授とパリダ助教授の手配により,トルファン地方でのサンプル採集を行った.健康人が多く集まる市場の一角で,ウイグル人を中心に口腔洗浄液を収集した.検体収集協力者の内訳は以下の通りであった.ウイグル人93名,漢民族4名の合計97名(男女比は男:5名,女:92名)で年齢層は5歳~55歳であった.これらの検体から口腔内真菌が分離されたのは48検体で陽性率は49.5%,さらにC.albicansが分離されたのは22検体で陽性率は22.7%であった.その後,得られたコロニーの同定とgenotypingを行った.Non-albicans分離菌は,同定キットとD1D2の塩基配列より同定を確定した.今回得られたデータは,次年度以降に別地域で分離する菌株と比較して行く. 一方で,既にこれまで収集してきた日本人の皮膚カンジダ症患者感染部位と非カンジダ症患者の口腔より分離したC.albicansのgenotypeの特徴をmicrosatelliteのフラグメント解析により調べた.その結果,常在部位由来C.albicansには4種類,感染部位由来C.albicansでは3種類のmajor genotypeが確認された.4種類の中で3種のgenotypeは同じで,これらは非感染者口腔内に常在菌として広く生息しているものと考えられた.残りの1つのC.albicansの感染力は他のgenotypeと比べて低いと考えられる.さらに,各個人当たりに生息するC.albicansのgenotypeは均一でなく,特に非カンジダ症患者の50%で,2種類以上のgenotypeが確認された.
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