研究概要 |
平成23年度のサンプル採集計画の立案を目的として,共同研究者であるアブリズ・パリダ助教授(新疆医科大学)を7月4日~24日に招聘した.前年度の採集地および方法の評価と今年度の採集地に関する現地情報に付いて打ち合わせを行った.その結果前回(トルファン,ロップノール)とは異なる地域(北西部のイリ)で行う事を決定した.また,口腔洗浄液を収集するグループと生育コロニーを採取するグループの2班にわけて作業することとした.すなわち,分担者の矢口,神戸が先発隊として出発し(8月8日~17日),後発隊として田中が出かけた(8月14日~21日).新疆医科大学にてサンプルの引き継ぎを行い,後発隊の田中がサンプルを持ち帰った.その後,千葉大学にて純化作業と同定作業を行い,遺伝子型の決定を行った.12月21日,22日には分担者の神戸が千葉大学にて追加の試験を行い,DNAとして名古屋大学へ持ち帰った.その後,神戸はマイクロサテライト法を用いた解析を行った.一方,採取したサンプルからは,カンジダ・アルビカンス以外の酵母菌も少なからず分離され,その同定を分担者の松澤が行った.検体提供者によっては,複数の菌種を口腔内に持つものもあり,その関連性に付いても検討して行く予定である. イリで採取されたサンプルは,153人の提供者のうち42人(27.5%)が陽性で,そのうち複数の遺伝子型を持つ場合が6人いた.陽性率については,前年度とほぼ同等であり,今後,他地域の調査結果と合わせて詳細に検討して行く. 平成24年1月にトルコのイルキット教授(ククロバ大学医学部微生物学教室)に面会することができ,最終年度にトルコでのサンプル採取を共同で行うための打ち合わせを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5年計画のうち初年度は,新彊ウイグル自治区内での混乱により渡航自粛をしたために,集められたサンプルは少なかったが,その翌年からは各方面へ順調に採取旅行が行えている.また,最終年度のトルコでの採取に付いても現地協力者との連絡が取れるようになり,計画は概ね順調に進行している状況である.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,調査地域を南西方面として予定している,さらに最終年度は,シルクロードの要とも言えるトルコでの採集を準備中である.現地でのサポートを受けるため,アダナ市にあるククロバ大学のイルキット教授とは共同研究の約束ができているので,今後詳細な打ち合わせを行って行く.
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