研究概要 |
平成22年度は,すり身加工によるヒレナマズの食用普及を展開するための,現地の実情に合わせた加工・保存体制の構築および持続的な生産や消費に対する意識の浸透を図る方策について検討した。 Zapata湿地では,現地の限られたインフラの活用による加工・保存について協議を行なうとともに,ヒレナマズのすり身加工品の試作を行なった。日本での標準的な作製法によるものと比較して,Zapata湿地区域内で調達可能な食材を添加する工夫をしたものの方がより高い評価を得た。現地で捕獲・加工されているヒレナマズの大きさに大きなバラつきが観察されたことから,一部の試料について分子分類を試みたところ,複数の種が混在していることが推測された。したがって,種ごとに加工特性が違う場合には,それに応じた加工法を検討することも必要であると思われた。 また,ハバナ市内で保存食品の普及活動を展開しているNGOを取材し,ナマズ肉に対するキューバ人の嗜好や調理法について取材した。ナマズ肉の処理の悪さに起因する生臭さが普及を阻む要因の一つであることが推測された。さらに,ハバナ市近郊のアラマール地区の大規模有機農園を訪問し,ハーブ類の栽培状況や流通について取材したところ,現在のところ流通量は限られているが増大傾向にはあり,ハーブ処理した肉の普及の可能性はあることが示唆された。 以上のことから,原料魚の特性,活用可能なインフラ,加工・保存方法やハーブやそれ以外の添加可能な食材といった情報を整理することにより,漁獲から消費までの一連の流れを構築することが可能であると考えられた。
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