研究概要 |
平成23年度は,すり身としてのヒレナマズの食用化を図るとともに,現地の実情に合わせた普及体制の構築を試みた。 平成23年9月の現地調査では,現地でのヒレナマズ肉の食料利用等に関する構想の進捗状況を知るとともに,将来的な製品群の拡大を目指してすり身以外の水産食品の試食を行なった。また,資源の循環も視野に入れ,現地での有機農業や食材流通に関する情報収集も行なった。平成22年度までの訪問による情報交換により,サパタ湿地地区の関係者の間でヒレナマズ肉の加工法を工夫することが肝要であるとの認識が高まっており,ヒレナマズ調理・加工品だけが提供された試食会が自主的に開催されたことが分かった。すり身以外の製品についての試食では,なじみのない食感のものについて多少評価が低かったものの,概ね受け入れ可能であると思われた。また,食材の安定供給については十分でない点が見られたものの,現地の有機農業体制等を巻き込んだ小型の循環型利用システムが構築可能であると思われた。 平成23年1月には,サパタ湿地地区の副区長(食料政策担当)へ,これまでの経緯および成果と現地での試作・試食の計画について説明した。前回の訪問時の観察で要解決問題として提案していた清水馴致について,Cuban gar研究施設の水槽で1週間前から行なわれたもの,前日に捕獲したものの2群を確保し,Zapata湿地東部のCayo Ramona集落において,試作・試食を行なった。上述の副区長に加え集落の技術担当役員やレストラン経営者等から,清水馴致により臭みが抜けることを実感したとの回答を得た。 デジタルビデオカメラで撮影した清水馴致やヒレナマズ肉の加工・調理の様子を7分間程度に編集し,現地関係者へ配布することにより自発的な普及体制構築の検討が開始されつつある。
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