研究課題/領域番号 |
21405008
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大澤 晃 京都大学, 農学研究科, 教授 (90288647)
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研究分担者 |
安江 恒 信州大学, 農学部, 准教授 (00324236)
梶本 卓也 京都大学, 森林総合研究所, 研究室長 (70353638)
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キーワード | シルビクロノロジー / Picea mariana / Populus tremuloides / 亜寒帯林 / 現存量 / 現存量蓄積速度 / 年輪解析 / 地球気候モデル |
研究概要 |
本研究は、森林の構造変化と環境要因との関係を解析する新しい学問分野「シルビ・クロノロジー(Silvi-chronology)」の主な構成要素を組み立て、森林の過去の現存量と現存量増加速度の復元およびこれらの将来予測に応用することを目的とする。亜寒帯林と温帯林数ヶ所からの林分データを採取・解析して方法の基礎を確立し、これを、温暖化の影響を強く受けていると考えられるカナダ北部の亜寒帯林に適用して、地域レベルの過去100-200年間の現存量蓄積速度の復元と今後約100年間の変化予測を、現存する林分から得られる試料を活かしつつ客観的な方法によって行うことをめざしている。 平成23年度は、カナダのマリアナトウヒあるいはクウェイキングアスペンを主体とする調査地域内の計9プロットにおいて採取された7-8本の単木(計約70本)の幹円板サンプルの年輪測定を主に行い、林分復元に関する計算を開始した。なお、林分の構造復元のみならず、森林生態系の過去の炭素動態復元の可能性も視野に入れた解析を行っており、この方向のアプローチとして細根動態解析法に関する考察も行った。今後OAZ法による各プロットの過去の現存量復元を行い、成長量と気象データとの相関を解析する。また、調査地域の今後100年間の気候要素の変化を、Hadley Centre地球気候モデルの大気中CO2濃度上昇率1%/年シナリオに従った計算結果(HadCM3GGalまたはその改訂版)からの内挿によって推定し、上記の気候要素と成長量の関係を使って将来の現存量増加速度を計算する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までにカナダのSalt River Siteにおいて採取した樹幹解析木の年輪解析をほぼ終了し、林分復元法による解析と過去の森林現存量推定の作業が順調に進んでいる。研究代表者の所属する京都大学だけでなく、研究分担者及び連携研究者も年輪解析の作業に協力し樹幹解析作業を国際的に分担して行ったことにより、解析作業が順調に進んだ。24年度にはこの解析を終了し、気候データとの相関解析を開始する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は本研究課題の最終年度にあたる。研究期間終了までに、解析によって明らかになった過去の林分構造とその履歴のデータを過去の気候要素データと系統的に比較することにより、林分レベルでの現存量増加速度の気候応答に関する分析を開始し、一定の成果を得ることを目指している。年輪年代学的解析に詳しい研究分担者(安江)と林分レベルの成長解析に明るい研究代表者(大澤)の共同作業となる。研究遂行の上での問題点は特にない。
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