研究課題/領域番号 |
21405009
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 英樹 北海道大学, 総合博物館, 教授 (70142700)
|
研究分担者 |
藤井 紀行 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (40305412)
大泰司 紀之 北海道大学, 総合博物館, 研究員 (50001532)
矢部 衛 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (80174572)
|
キーワード | 千島列島 / 絶滅危惧種 / 外来生物種 |
研究概要 |
色丹島で8月22日から29日の8日間、植物、海藻、魚類、貝類についての現地調査を行い、併せて現地情報の聞き取り調査を行うことができた。外来種についてはシャコタン山山麓や登山道沿い、頂上付近廃墟跡でシロツメクサ、ムラサキツメクサ、エダウチチチコグサ、セイヨウタンポポなどが確認され、自然植生に対する悪影響を考慮すると今後モニタリングを継続する必要がある。島北側のアナマ村やシャコタン村ではアメリカオニアザミやオニツリフネソウなどが単発的に侵入してはいるが、道東で見られるオオアワダチソウやオオハンゴンソウなど群生して在来植生に大きな影響を与える外来植物種はまだ侵入していなかった。また、島の南西部にあたる松ヶ浜やマスバ山などにはほとんど外来植物が侵入しておらず、良好な在来植生が維持されている事が確認できた。 北海道で問題になっているセイヨウオオマルハナバチ、ブラウントラウト、アライグマ、ミンク、ウチダザリガニ等の外来動物については地元の自然保護関係者から聞き取りを行ったが侵入しておらず、島全体としては良好な状態であることが確認できた。 絶滅危惧種・希少種においては、グイマツを200~300株確認したものの湿原の乾燥化が懸念され、今後の継続調査が必要である。またこの周辺から記録されている希少種カラフトムシトリスミレは発見できなかった。ウルップソウ、カタオカソウは大きな群落地を確認した。色丹島固有のシコタントロロコンブの生育も確認し、島南部の沿岸生態系は良好に維持されていると考える。さらに希少種昆虫ノサップマルハナバチを自生地で確認し、希少魚類オショロコマの生息情報を得た。 以上のように色丹島の外来種、絶滅危惧種に関する多くの知見を得ることができた。
|