研究課題/領域番号 |
21405009
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 英樹 北海道大学, 総合博物館, 教授 (70142700)
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研究分担者 |
藤井 紀行 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (40305412)
大泰司 紀之 北海道大学, 総合博物館, 資料部研究員 (50001532)
矢部 衛 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (80174572)
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キーワード | 千島列島 / 外来種 / 絶滅危惧種 |
研究概要 |
これまで21年度に国後島予備調査、22年度に色丹島調査を行い、本年23年度は択捉島調査の予定であったが、残念ながら北方四島側の都合により、ビザなし交流枠内での今回の日本人による現状調査は中止となってしまった。このため期待されていた我々自身の現状調査によるデータ収集ができなかった。そこでロシア人研究協力者であるユジノサハリンスクのサハリン植物園スタッフによる現地調査を依頼した。これにより特に外来植物種を50種程度確認できたのは大きな成果だった。一方で、現地調査以外での千島列島産生物群調査も進めており、今年度はウラジオストクの生物土壌学研究所の植物標本庫を研究代表者と研究協力者2名の計3名で訪問し、千島列島産の水生植物、イネ科ノガリヤス属などについての標本調査を進めた。この折に、ロシア人研究者との情報交換を行い、択捉島における調査方法についての議論を行うことができたので来年度以降の調査に生かしたいと思っている。さらに日本に保管されている戦前採集の千島列島産標本の整理も進めており、また最近ロシア側から出版された千島列島の植物図鑑の翻訳作業も継続して行っている。これらにより千島列島の生物インベントリー事業が着実に進んでいる。23年度調査全体としては、当初計画したほどの現地調査成果は得られなかったものの、これまでの調査の蓄積により、さまざまな生物群における希少種・外来種に関する報告をまとめることができた。たとえば、Sato, Y., et al.(2011)により、南千島で見られる稀少個体群「白いヒグマ」についてのレビューがまとめられた。また2011年3月には近藤ら(2011)により哺乳類コウモリ類のモモジロコウモリの白化型の報告、また河合ら(2011)によりコウモリ相の報告がなされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度においては、北方四島側の都合により、択捉島での日本人による現地調査ができなかった。このためロシア側の研究協力者による調査を依頼したが、これは植物のみが調査対象だった。千島列島標本の多いウラジオストク生物土壌学研究所での標本調査をおこなったり、ロシア側文献の翻訳をおこない、不足を補う努力をおこなった。しかしながら、実際に現地調査ができなかった影響により。当初計画よりも若干遅れていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
本年平成24年度は、択捉島での現地調査を成功させるこめ、関係諸機関と協議を進めているところである。また国後島での調査案も同時並行で協議中である。さらに、千島列島標本の多いサハリンの研究機関への調査も計画する。これにより、若干遅れている調査計画をなんとか達成したいと考えている。
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