研究概要 |
高橋は、今年度の野外調査によって、モンゴルの白亜紀の地層から初めて、3次元的構造を残している小型炭化化石を発見し、被子植物の初期進化と地球環境の変遷解明に有効な手掛かりを得ている。現在も、その構造解析をアメリカの大型加速器APSで、Peter R.CraneやPatrick Herendeenとともに進めており、3次元的構造解析を行っている。また、モンゴルと対比可能なタイの前期白亜紀の地層からの小型炭化化石の探索を行っている。 分担者の長谷川は,フレンドホ地域のフフテグ層において地質柱状図を作成し,植物化石試料採集露頭周辺についての地質学的な記載を行った。また、シネフダク地域のシネフダク層に関して柱状図を作成の上採集した試料について有機炭素の同位体比を測定した.その結果,7‰程度の変動があることが明らかになった.この結果は,湖堆積物への植物プランクトン類と高等植物の相対的な含有率の変動を示していると考えられ,湖の成層状態や河川による高等植物遺骸の流入量など,気候に関連する要因の変動読み取れることが判ってきた. 分担者の安藤は,フレンドホ地域のフフテグ(Khukhteeg)層,シネフダグ地城およびエイデムト地域のシネフダグ(Shinekhudag)層において地質調査を行い,小型植物化石の含有が期待される層準の堆積環境復元のための岩相・堆積相層序記載を実施した. 山田は、フレンダホ地域に分布する下部白亜系(アルビアン)フフテグ層中に,シンター由来と考えられる硅化層を発見し,その中から多数の硅化植物化石を得た。これらの硅化植物化石群は,ゼンマイ科,タカワラビ科などの葉化石,マキ科の葉柄,針葉樹材化石を含んでいることが分かった。
|