研究分担者 |
佐藤 雅志 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (40134043)
中村 郁郎 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (50207867)
PETER Matthews 弘前大学, 国立民族学博物館, 准教授 (70281590)
一谷 勝之 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (10305162)
田中 克典 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (00450213)
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研究概要 |
オーストラリア・クイーンズランド州北部における野生イネの多様性を評価し,育種的利用を検討するために調査を行った.オーストラリア大陸にはOryza属の野生種4種(australiensis,officinalis,meridionalis,rufipogon)が報告されている.今回の調査では,officinalis以外の種を見出すことができた.Mareeba周辺では多年生(P26)と一年生(P27)は別の集団を構成しており,一年生とはaustraliensisが同所的に生息していた.Mossman近郊では多年生のみの集団(Jpn1)がみられる.一方,Cooktown周辺では一年生-多年生の混在する集団が見出された.Lauraより北の多年生集団であるJpn2ならびに3はJpn1ならびにP26とは異なる遺伝的特性を示した.前者がmeridionalisと同じ遺伝構成を示し,後者がアジア型であった.混合集団(P5,P10)ではそれらの混在することが確認された.しかし,P10では完全に遺伝的に異なっており,明瞭な生殖隔離が見いだされた.P5では遺伝的にアジア型とmeridionalis型のヘテロ型がみだされた.葉緑体調査からは,australiensis以外のほとんどの葉緑体はmeridionalis型であった.P5においてのみアジア型の葉緑体を有する系統がみだされた.これらの集団では種間交雑が自然に発生したことが推測されるため,実験的に交雑を行った.来年度に生物種としての隔離システムの有無を検定できる.一方,アジア型の系統については葉緑体がmeridionalisと同じであったものの,核の塩基配列を部分的に取得した結果,アジア型に遺伝的距離が近いことがわかった.今後,分岐年代測定を算出することを試みる.
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