研究分担者 |
佐藤 雅志 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (40134043)
佐藤 洋一郎 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (20145113)
中村 郁郎 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (50207867)
MATTHEWS Peter 国立民族学博物館, 准教授 (70281590)
一谷 勝之 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (10305162)
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研究概要 |
研究当初は,栽培イネの祖先種であるO.rufipogonがアジアからオセアニアまで広域に分布し,オセアニア固有種のO.meridionalisがアジアにはみられないという種の局在が知られていた.オーストラリア固有種であるmeridionalisならびにアジアと同じとされていた多年生種の特徴を明らかにするためには生態情報が重要になるため,現地集団の情報をGPSならびに季節を変えた生態型の情報を収集,さらに反復採取により季節の異なる集団の動向を明らかにすることにした.アジアの対照系統との交雑をすすめ,生殖隔離の発達状況を明らかにした.遺伝的分化は分子マーカーを開発して集団遺伝学を行うともに,全ゲノム解析を行った.その結果,アジアと異なる多年生種が一年生であるO.meridionalisと類似の多年生とともに分化したこと,アジアからは葉緑体がO.meridionalisと共通な集団が二次的に拡散したことが明らかとなった.多年生集団は常時水のある環境において生息しており,一年生のみが乾季乾燥する領域に生息していることがわかった.Jpn1型はアジアに見られないため,拡散した後に死滅した集団であると考えられる.したがって,オーストラリアの野生イネは育種的に利用していない未知の有用遺伝資源であることがわかった.さらに遺伝的多様性評価のために,集団遺伝学的解析をすすめて一年生ならびに多年生の遺伝的評価を行ったことから,それらの特性を活かした交雑後代での遺伝解析材料を作成できた.
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