研究課題/領域番号 |
21405023
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
服部 力 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, グループ長 (00353813)
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研究分担者 |
根田 仁 独立行政法人森林総合研究所, きのこ・微生物研究領域, 室長 (60353801)
太田 祐子 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (60343802)
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キーワード | 熱帯雨林 / 生物多様性 / 同定技術 / 生物地理 / 微生物多様性 / 木材腐朽菌 |
研究概要 |
マレーシア側共同研究者とともに、マレー半島低地熱帯林内においてきのこ類調査を行った。木材腐朽菌や落葉分解菌を中心に合計約360点の標本を採取するとともに、同定およびDNA解析のため約100系統の菌株を分離した。また、マレーシア側カウンターパートがマレー半島各地において採取した標本約500点について、同定を進めた。エンダウロンピン国立公園では、これまでタイプ標本のみから知られていたBuglossoporus magnus、原記載以降報告のないAntrodiella heritierae、Perenniporia permacilentaさらに現時点で未記載種の可能性のある種も採集された。このうち、B.magnusは過去に1標本しか得られておらず、分布地域が制限された希少種の可能性が高い。タイプ標本および今回の標本はいずれも老齢林の大径倒木上から採集されており、本種はマレー半島の低地老齢林に特異的な種の可能性がある。本種の系統分類学的位置については今後検討の必要がある。Antrodiella heritierateはHeritiera属の生木地際部に特異的に発生するとされているが、原記載以降採集記録がなく、その生態については不明の点が多い。今回の採集標本については宿主は不明であるが、原記載同様生木地際部に発生していた。本種もマレー半島低地老齢林に特異的な種である可能性があり、保全上重要な知見が得られた。採集された各種の地理情報についてはマレーシア側カウンターパートによってデータベース化がすすめられており、今後マレー半島の各森林タイプに依存する主要きのこ相を解明していく予定である。
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