研究概要 |
マレー半島の主要な森林タイプごとに分布する主要な木材腐朽菌他大型菌類相を明らかにするとともに、主要種の分子情報を明らかにすることを目的とする。標本および主要種の菌株をマレーシア森林研究所に寄託、今後マレーシア国内の研究者を始めとする東南アジア菌類を研究する研究者が菌の正確な同定を行うための参照標本とする。半島マレーシアのキャメロン高原(標高約1,500m)において大型菌類の採集を行い、同定した。Microporus xanthopus、Ganoderma australe、Nigrofomes milanoporusなど多くの種は低地熱帯林との共通種であった。一方、Phellinus ferreus、Phellinus wahlbergii,Pseudofavolus miqueliiなどはマレー半島低地熱帯林では見られず、東アジア温帯域との共通種であった。さらに、Diacanthodes novo-guianensisはキャメロン高原では普通に見られるものの低地熱帯林でも東アジア温帯域でも認められず、アジア太平洋地域の低緯度高地に分布する種の可能性が高い。キャメロン高原には熱帯産種、温帯産種および低緯度高地に固有の種が同所的に分布することが示唆された。マレーシア側カウンターパートによる採集標本約300点について、同定を行った。菌根菌、落葉落枝分解性のハラタケ類についてはおおよそ属レベルでの同定を終了し、今後種レベルでの同定を目指す。また、カウンターパートの出版物「タシック・ベラの大型菌類(出版、マレーシア森林研究所)」執筆に全面的に協力した。
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