研究課題/領域番号 |
21405025
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中嶋 康博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50202213)
|
研究分担者 |
荘林 幹太郎 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (10460122)
合崎 英男 食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所, 主任研究員 (00343765)
高橋 太郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (20540876)
|
キーワード | 中国 / GIS / GPS / 水利制度 / OECD / 土地利用転換 / 汚染 / 画像解析 |
研究概要 |
中国南西部の湿潤地域においては、雲南省元陽県の農村にて100余戸の農家を対象とする調査票調査を行った。ここでは、農業生産に関する基本状況に加え、土地資源と水資源の利用状況について詳細なデータを収集した。また、分散錯圃の実態を調査するため、聞き取り対象となった農家が耕作している全水田のGPSデータを取得した。これらの情報を併せて分析した結果、集落からの距離と土地生産性には標高を介してトレードオフの関係があることが明らかになった。また、多くの圃場を抱えた農家では、遠くにある土地生産性が高い圃場の管理が粗放的になってしまい、圃場の良質性が十分に生かせていないことが明らかになった。 また、中国北西部の乾燥地域における水利用に関する文献レビューを行った。加えて、甘粛省張掖市にて第一回目の現地調査を行い、現地における水取引の概要について農家・用水者組合・灌漑区・地方政府等のステークホルダーから聞き取りを行った。これらの結果から、農業内での水取引の制度は存在するものの、農家には活用されておらず、制度設計に欠陥がある可能性が明らかとなった。この欠陥の背景を解明するため、現地の水取引を再現した非線形計画モデルを構築し分析した。その結果、分散錯圃の進んでいる東アジア型の農業地帯においては、従来の水取引モデルが想定している一農家一圃場型の農業地帯における水取引とは異なる水需要の構造があるため、後者を想定した水取引価格への介入が市場の失敗を増長している可能性があることが明らかになった。
|