研究課題/領域番号 |
21405026
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山尾 政博 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (70201829)
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研究分担者 |
山下 東子 明海大学, 経済学部, 教授 (50275822)
赤嶺 淳 名古屋市立大学, 大学院・人間文化研究科, 准教授 (90336701)
鳥居 享司 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (70399103)
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キーワード | 水産業クラスター / チャイナ・リスク / マグロ産業 / ナマコ貿易 / 鑑賞用魚 / 在来型貿易 / 東日本大震災 / 水産物輸出戦略 |
研究概要 |
本年度は、東アジア水産業をめぐる分業関係と貿易についてまとめた。東アジア水産業および食料産業の競争構造は中国を頂点に確立されているが、タイ、ベトナム、インドネシアでもクラスター化が進展している。人件費等の上昇があって中国が持つ競争の優位性がやや揺らいでおり、日本の食料産業は他のクラスター国に生産過程の一部を移している。これがクラスター間とその周辺国の間の分業関係や貿易の変化をもたらしている。クラスター国における資本と技術の蓄積を背景に、日本を含む周辺国の水産業は原料・半製品を供給する役割を担ってきた。東日本の多獲性魚種は重要な輸出品目であったが、2011年3月11日に発生した大震災によって、日本の水産物輸出戦略は見直しが求められている。本研究成果の一部は、震災復興戦略を起案する際に参考にされた。 前年度に引き続き、インドネシアのマグロ産業に焦点をあて、デンパサールのマグロ産業の生産・処理・輸出の過程を分析した。2010年より漁獲量の減少に見舞われており、原料立地型のマグロ加工企業の厳しさが増している。今後の漁獲動向によっては、生鮮キハダ・メバチの供給基地としての位置づけが揺らぎ、日本への供給構造が変化する可能性がある(鳥居享司担当)。本年度の調査では、域内の在来型水産物貿易に関する研究に大きな前進があった。中国ではナマコ産業の発展過程について大連を中心に調査し、これが波及的に東アジア全域に広がった経緯を明らかにした(赤嶺淳担当)。また、最近取り扱いが増えている観賞用魚について、シンガポールでの養殖と流通状況を中心に調査研究を行ない、域内分業と貿易の構図を明らかにした(山下東子担当)。カタクチイワシを始めとする重要経済魚種の貿易と資源利用の実態が調査された(山尾担当)。以上の分析を踏まえて貿易と分業のダイナミズムが明らかにされた。
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