研究分担者 |
仲地 宗俊 琉球大学, 農学部, 教授 (70180312)
岩元 泉 鹿児島大学, 農学部, 教授 (10193773)
坂爪 浩史 北海道大学, 農学部, 准教授 (80258665)
藤村 美穂 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60301355)
坂田 正三 アジア経済研究所, 地域研究センター, 主任調査研究員 (90450519)
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研究概要 |
本年度の現地調査研究では,研究の目的に照らして主に以下のような事実を明らかにした。 (1)フンエン省ラクダオ村では2001年以降,農村近代化政策のもとで進む工業用地開発によって相当数の農民世帯が農地を接収されることになり,土地なし層となっている。村行政は,工場立地に際して,農地を失った世帯の労働者を優先的に雇用するよう勧告してきたが,労働者の技能不足を理由に必ずしも予定どおりに進んでいないことが問題である。 (2)旧ハテイ省ダンフォン村は新都市開発構想の地域にあり,多くの農民世帯が農業から他産業従事へと所得獲得戦略を変え,一人当たりGDPは800米ドルを超える高い所得となっている。 この中で地域農業の維持が課題となっており,農業合作社が率先して農地集積を行い,これを農業への参入企業や個人大規模経営者に斡旋するほか,複数個人農家と農業合作社との共同出資による企業的農業経営の出現など地域農業維持の新しい担い手形成を進めている。 (3)南部のロンアン省では現在30の工業団地(11,000ha)開発が認可され,開発済みもしくは造成中である。このほか政府による米作用地の縮減方針の下で2020年までにさらに14,000haの農地が工業団地に転用される計画である。工業団地開発は国内デベロッパーが中心となって実施されている。ここに入植した海外企業は,グループ企業内の財務上の操作によって赤字会計を行い,事業税納付を回避するなどの実態があること,一方,国内企業においても容易に開発許可を得る目的から一旦は工業団地開発として認可申請したものの,後にレジャー施設開発に土地利用目的を変更するなど,不適切な土地開発の実態のあることを明らかにした。
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