研究分担者 |
長谷川 周一 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10333634)
波多野 隆介 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (40156344)
井上 京 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30203235)
山本 忠男 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (00312398)
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研究概要 |
本研究の目的は,おおまかに以下の次の2点である。 1.タリム河流域の農業水利の把握と合理的な水土利用の検討 2.圃場における塩類集積発生の詳細な要因分析と劣化の抑制の方途の検討 2009年7月の新疆騒乱により現地調査の実施に制限があり,また現地研究者との共同シンポジウムの開催自粛を要請されたため,予定していた作業の実施は困難であり,前年度研究費の繰越を行った。現地研究協力者と調整し,2010年7月に現地調査が可能となった。 H21年度補助金の繰越金による調査内容と新たに明らかになった点は以下のとおりである。なお,当該年度の繰越経費による調査の成果はH22年度の研究成果の一部となっている。 (1)節水潅漑を導入した圃場において塩類集積の発生状況が異なっており,その要因を解明するために,土壌調査ならびに土壌溶液の分析をおこなった。その結果,塩類集積被害の大きい地点では,土壌の透水性が小さく,またECも大きい傾向にあることが示された。ただし,ECは測定個所による違いが大きく,排水性が良好であっても塩類集積が生じていることが予測された。 (2)2010年は灌漑用水の供給が比較的豊富であり,例年ほどの水不足が生じていなかった。配水データと水管理における規則を比較したが,水不足が解消されたという証明には至らなからた。この原因には配水管理における規則の遵守と農地の立地条件が関係しているものと推察された。 (3)節水潅漑施設の導入が国策として強く進められるようになったことが確認された。これにより地域の水資源利用が大きく変化してきていることが,取得データより確認された。 (4)節水潅漑を導入した農家を対象にヒアリング調査を実施した。その結果,施設を導入したことで,収量が2倍近くも増加した農家がある一方,導入前より収量が減少した農家も存在し,施設の管理方法が生産性に影響しているものと推察された。
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