研究分担者 |
長谷川 周一 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10333634)
波多野 隆介 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (40156344)
井上 京 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30203235)
山本 忠男 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (00312398)
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研究概要 |
本研究の目的は,おおまかに以下の次の2点である。 (1)タリム河流域の農業水利の把握と合理的な水土利用の検討 (2)圃場における塩類集積発生の詳細な要因分析と劣化の抑制の方途の検討 今年度は2年目の研究にあたるものの,2009年度の新疆騒乱後の社会状況の変化により現地調査の実施に制限があり,また現地研究者との共同シンポジウムの開催自粛を要請されたため,前年度研究費の繰越を行った。そのため今年度計画していた調査を前年度繰越経費で実施した経緯がある。 今年度の調査内容と新たに明らかになった点は以下のとおりである。 1)現地の研究者ならびに技術者との共同シンポジウムの開催は,中国国内では行えなかったものの日本国内(札幌,北海道大学,2010年10月)にて実施した。 2)2010年12月と2011年3月に現地調査をおこなった。これは塩類集積の発生プロセスに関する調査と節水潅漑が地域の農業水利に及ぼす影響評価に関する調査である。この調査結果から,地下水位の季節的変動が極めて大きく,このことが塩類集積発生に影響していることが予測された。また,節水潅漑の効果は,個人整備の施設で生産性向上に寄与しているものの,団体整備施設では必ずしも十分な成果を上げられない傾向にあることがわかった。 3)塩類集積の影響の程度が異なる圃場において,土壌特性の比較と飽和土壌溶液の比較をおこなった。その結果,作土の直下に砂質土壌を多く含む圃場においては,作土層においても土壌中の塩分が少ないことが示唆された。これは,この地域の塩類集積が灌漑用水の直接的な影響よりも地下からの塩類供給の影響が大きいことを示している。しかしながら年間を通じての地下水位はそれほど相違が無く,この点が次年度の調査課題である。
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