研究課題/領域番号 |
21405037
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (80211895)
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キーワード | メタン / 熱帯泥炭湿地 / 乾地化 / 再湛水 / Melaleuca cajuputi / 水位 / 国際研究者交流 / タイ |
研究概要 |
タイ国ナコンシタマラート県のシリントン王女Melaleuca cajuputi研究所の開設が遅れているため、同所に設置予定の水位環境の異なる試験区における泥炭土壌からのメタン放出の環境影響解析に関してはデータの収集が遅れているが、それを補完する形で水位環境の異なる時期に泥炭土壌からのメタン放出速度を測定し、地下水位に対する応答性の解析を進めた。非湛水状態においても泥炭土壌表面からメタンが放出しており、湛水による放出速度の増大は確認されなかった。開発された熱帯泥炭土壌を再湛水して森林を再生した際には、泥炭土壌の分解抑制によって二酸化炭素放出が抑制される一方で泥炭土壌が嫌気環境におかれることにより泥炭土壌からのメタンの放出の増大の可能性があるが、本研究によりその可能性は低いと考えられる。植物体を経由したメタンの放出量の測定方法として、Melaleuca cajuputiの稚樹を対象に、地上部を切除して切断面からの放出速度を測定する方法(切断面法)の妥当性を検討した。具体的には、植物体地上部全体をチャンバーで覆ってクローズドチャンバー法により個体からのメタン放出速度を測定し、その後、湛水面近くで地上部を切除しして切断面からの放出速度を測定し、両者の値を比較した。個体からのメタン放出速度と切断面からのメタン放出速度との間に相関が認められた。今後、データを蓄積することにより測定誤差範囲を把握する。方法の妥当性が検証された後に、成木に本法を適用し、成木の樹体を介したメタン放出速度の把握を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終目標の達成に向けて必要なデータが蓄積しつつある
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今後の研究の推進方策 |
泥炭土壌からのメタン放出に関しては今後もデータを蓄積し、環境応答解析を行う。樹体を介したメタン放出に関しては、切断法の妥当性の検証を進め、成木への適用を図ると共に、成木の幹表面にチャンバーを取り付けて非破壊的にメタン放出を測定し、個体サイズや環境応答などの解析を進めながら最終的に林分からの放出量の推定を行う。
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