研究概要 |
本研究の目的は,熱帯アフリカ東西に位置するタンザニア・カメルーン両国(周辺国を含む)において,「生産生態資源分布の不均一性および営農におけるその積極的利用」の例を複数抽出し,そこに含まれる生態学的プロセスを明示した上で,その一次生産面および環境科学的側面について,異なる階層-国,地域(生態区),村落,個人農等のレベル-において評価することである。研究初年度である平成21年度は,まず生産生態資源分布の不均一性に関する知見を地域ごとに抽出する作業を行った。具体的には,以下のような成果が得られた。1.東アフリカ・タンザニア国の砂質土壌において,乾燥条件下で土壌微生物が多く死滅することにより,作物に対する窒素の給源として重要な役割を担っていること,2.西アフリカ・カメルーンにおいて赤色度の強い土壌には遊離鉄が多く存在し,特に塩基の残存量が少ないこと等が明らかとなった。これらの成果により,乾季の作物生育における土壌微生物の重要性,赤色土壌(フェラルソル)における養分動態の精密な測定の必要性が明らかとなった。赤色土壌における養分動態を明らかにするため,広域的な生産生態資源分布調査を行った結果,カメルーン国東部ベルトゥア周辺,南西部エボロワ周辺に研究サイトを選定し,土壌気象および養分動態のモニタリングを開始した。本調査により,生産生態資源分布の不均一性が土壌の養分動態,さらに作物の生育に直接影響を及ぼす一連の生態学的プロセスが明らかになると考えられる。
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