研究課題
日本住血吸虫感染を高感度で検出する遺伝子診断法を確立し、中国の流行地における直接の感染源である中間宿主貝の感染モニタリングの新規システム開発を目指した。日本住血吸虫の28S rRNA遺伝子を標的としたPCRおよびLAMP法にてOnchomelania属貝から寄生虫遺伝子を増幅する検査を実験室内で確立し、この検査法の流行地現場における実施可能性と疫学情報としての有用性評価を進めた。この方法が10pgのゲノムDNAを検出限度とすること、現状ではPCRとLAMPとでほぼ同等の検出感度を示すことを実験室レベルで確認した。流行地のon-siteでの実用性を考えて、必要な機器が少なくて済むLAMP法の実用化を考えた。寄生虫学的検査法により流行度が異なる3つの地域(A,B,C)を中国安徽省内から選定し、そこから採取したOnchomelamnia属貝200個を50mlチューブ中で破砕してDNAを抽出した。それをテンプレートにして28S rRNA遺伝子を増幅するLAMP法を実施したところ、3地点全ての貝サンプルが陽性反応を示した。中国の流行地に設置された検査ステーションの通常の機器を用いることで、LAMP法の感染検出が実施できることが確認され、さらに3地点の中には通常の寄生虫学的検査では感染貝が検出されない所もあったが、遺伝子検出法を応用することでより感度の高いモニタリング手法となり得る事が確認された。さらに、中国の流行地におけるOnchomelania属貝の生息環境の特性を土壌と植生の因子から解析し、流行地のデジタルマップに生息密度と土壌特性を入力して感染リスクの情報とした。地球温暖化が与える貝の生息域の動向も予測し、流行予測の資料としての有用性を検討した。
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American Journal of Tropical Medicine & Hygiene (印刷中)
Tropical Medicine and Health 38
ページ: 1-12