研究課題
ヒトを終宿主とするテニア科条虫には、有鉤条虫、無鉤条虫、タイワンテニアの3種が知られている。研究代表者らのグループは、長年にわたりこれらのテニア科条虫についての研究を実施してきており、地理的分布、遺伝的変異、遺伝子診断法、ヒトの免疫診断法等様々な成果を明らかにしてきた。しかし、それらの中間宿主である家畜での疫学調査については研究代表者らのグループを含めほとんど実施されていなかった。そこで、研究代表者の岡本は基盤研究(B)(海外学術調査)の助成を受け、平成18~20年度にかけて、家畜における分子疫学調査と家畜のリスク評価の研究を実施した。本研究課題は、それらの成果をさらに発展させるものである。平成22年度は、中国四川省疫学研究所の研究員とともに、同省チベット高原の流行地で調査を実施した。前年度に調査した2地区に加え、新たに2つの集落で調査を実施したところ、いずれの地域でもテニアの感染者が認められ同地域はヒトテニア症の濃厚汚染地域であることが再確認できた。形態的に無鉤条虫あるいはアジア条虫と思われる条虫の人体寄生は全ての集落で確認できたが、有鉤条虫は昨年度と同様、1集落で確認できたのみであった。これらの虫体について、ミトコンドリアDNAと核のDNAを用いた遺伝子診断を実施したところ、1集落において採集された2虫体は、Hybrid由来であることが確認できた。また、同地域で生息しているブタからテニアの幼虫を採取した。遺伝子検査は、平成23年度に実施する予定である。
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Parasitology International
巻: 59 ページ: 326-330
Genetics and Evolution
巻: 10 ページ: 444-452