研究課題
胆道(胆管・胆嚢)がんは、予後の極めて悪い難治がんであり、その早期発見は困難で、医療技術の進歩した我が国でも大多数は進行がんの状態で発見されている。アジアの胆道がん多発地域のみならず日本を含めた世界的規模で今後増加が見込まれる胆道がんの早期発見や、適切な治療法の確立、発がんの個人レベルにおける予防法等に具体的な指針を与えることが重要であると考え、これを研究目的としている。本年度は以下の成果を得た。タイ王国の胆管がんの発症リスクに関しての遺伝的多型については、現在、XRCC1(codon194)およびXRCC1(codon280)の多型について調べており、その結果を解析中である。肝吸虫の慢性感染がタイ王国における胆管がんの発症リスクであることは既に知られている。一方、肝吸虫の非感染地域においてはC型肝炎ウイルス(HCV)が胆管がんのリスク要因であることが報告されている。そこで、肝吸虫の感染地域のタイ王国東北部における肝炎ウイルスの胆管がん発症リスクについて調べた。その結果、103例の性、年齢、居住地をマッチさせた106例の症例対照研究の結果、B型またはC型肝炎ウイルス(HBV and/or HCV)の感染により胆管がんにかかるリスクは、オッズ比が4.00で95%の信頼区間は、1.29-16.44であった。また肝吸虫感染の要因を調整した後でも、オッズ比は、4.69で信頼区間は、0.98-22.47であり、有意ではないが増加の傾向がみられた。これらの結果は、HBVとHCVは、タイ東北部の胆管がんに関しても、その発症リスクに関係している可能性が示された。インドの胆嚢がんについて染色体領域のDNAコピー数異常を調べる件とハムスターの肝内胆管がんモデルにおける中心体の増幅について発がん過程を追って調べる件は未だ準備中である。
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