研究課題/領域番号 |
21406012
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
沢辺 京子 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (10215923)
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研究分担者 |
佐々木 年則 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (10300930)
伊澤 晴彦 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (90370965)
水谷 哲也 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (70281681)
山川 睦 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所, 上席研究官 (40355186)
比嘉 由紀子 長崎大学, 熱帯医学研究所・病害動物学部門, 助教 (40404561)
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キーワード | RDV法 / 蚊媒介性ウイルス / ヌカカ媒介性ウイルス / 疾病媒介昆虫 / 野外調査 |
研究概要 |
2009年7月フィリピンで捕集されたネッタイイエカ磨砕液のC6/36細胞接種系から得られた感染性因子を電顕観察し、ラブドウイルスと他に数種類の感染性因子を検出・分離した。その培養上清から抽出したRNAをもとにRDV法による遺伝子解析を行い、既知の遺伝子配列と相同性を有さない遺伝子配列を見出した。これらの遺伝子配列は新規ウイルスゲノムの一部であると考えられた。また、これまでに捕集されたベトナム・フィリピンの捕集蚊からも細胞変性効果を示す細胞上清が数種類得られており、本年度以降RDV法による迅速同定を実施する。また、フィリピンにおいては、2010年にデング熱の流行が報告されたルソン島中央部の患者宅周辺において成虫調査を行い、ネッタイイエカ、ネッタイシマカを含む合計7種1,861頭を採集した。同国におけるデング熱媒介にはネッタイシマカが主に関与していると考えられたが、アジアで流行が拡大しているチクングニア熱伝播にヒトスジシマカの関与が大きいことを考えると、首都マニラや都市化が進むケソン市でヒトスジシマカが多く採集されたことは、本種の動向にも今後注意すべきことを示唆している。同国における蚊媒介性ウイルス調査に関する成果はほとんどなく、これら採集蚊からのデングウイルス及びチクングニアウイルス、さらには新規ウイルスを対象とした解析を実施している。 一方、ヌカカ媒介性ウイルスに関しては、2003年に鹿児島県、2006年に沖縄県の牛から分離された新規アルボウイルスの性状を遺伝子レベルで明らかにするためにRDV法に基づく解析を試みた。前者はラブドウイルス科エフェメロウイルス属の新規のウイルスであることが判明したが、後者は同定には至らなかったことから、RDV法の改良が望まれる。Culicoides属ヌカカから未知のアルボウイルスの分離も視野に入れ、今後上記2株のウイルスとの関係も含め、これらの解析ならびに牛疾病との関連について調査を継続する。
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