研究課題
東南アジアの国々で,蚊・ヌカカが保有するウイルスを網羅的に探索し,東南アジア地域からのこれら吸血昆虫媒介性ウイルス感染症の日本国内への侵入監視,ならびにアウトブレークに対応する危機管理体制構築に貢献することを目的とした.ベトナム捕集蚊から日本脳炎ウイルス(JEV)とDak Nong virus(未分類のMesonidoviridaeウイルス)を分離し誌上発表した.フィリピン捕集蚊からJEVは分離されなかったが,Cx. vishnuiからNegevirusに近縁の新規ウイルスが分離され,その他に少なくとも5種類の感染性因子の存在が明らかになった.Culicoides属ヌカカから分離されたシャモンダウイルスとサシュペリウイルスは,近年,ヨーロッパで大規模な牛やめん羊の流産・早産・死産・先天異常を引き起こしているシュマレンベルクウイルスと近縁で,分節ゲノムの交換によりウイルスが進化してきたと推察された.両ウイルスは東南アジアに常在し,日本への侵入を繰り返していると考えられるため,ウイルス診断系が確立されたことは意義がある.また,フィリピン産ウシヌカカの一部が,本邦産と同じ遺伝子群に含まれることが判明し,東南アジアがヌカカ媒介性ウイルスの供給源となっていることが示唆された.RDV法は適宜改良し,多様なウイルス種の同定に貢献した.フィリピンにおいて,ヒトスジシマカはルソン島の北部と南部に局在していたが,ネッタイシマカはほぼ全域に分布し,主要なデング熱媒介蚊と考えられた.ネッタイシマカのピレスロイド系殺虫剤に対する感受性は低く,作用点ナトリウムチャネルが変異した個体が高頻度で見つかった.一方で抵抗性レベルは高いが,knockdown resistant遺伝子(kdr)頻度が低い集団も確認され,kdr因子以外の要因がピレスロイド系殺虫剤抵抗性に関与していることも示唆された.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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