引き続き、小児下痢症患者便検体や食肉からCampylobacter属菌を分離した。我が国の小児下痢症患者便365検体についてmultiplex-PCR法で調べ、mCCDA、Skirrow及びフィルター法で菌を分離したところ、10検体からC. jejuniを分離した。一方、食肉については鶏肉16検体中、6検体からC. jejuniを、16検体全てからArcobacter butzleriがを分離した。豚肉6検体中、C. jejuni、C. coliは全く分離されず、3検体からA. butzleriを分離した。牛肉9検体中、2検体からC. jejuniを、1検体からC. jejuniを、4検体からA. butzleriを分離した。タイの食肉については、牛肉12検体中、C. jejuniとC. coliは全く分離されず、9検体からA. butzleriを、5検体からArcobacter sppを分離した。鶏肉12検体中、2検体からC. jejuniを、1検体からC. jejuniを、12検体からA. butzleriを、4検体からC. jejuniを分離した。豚肉12検体中、C. jejuniとC. coliは全く分離されず、8検体からA. butzleriを、5検体からArcobacter sppを分離した。さらに、患者及び食肉から分離したCampylobacter属菌についてパルスフィールドゲル電気泳動でDNAフィンガープリント(DNA型)を比較解析した結果、患者あるいは食肉から分離した菌で一部同一あるいは類似したDNA型を示すものも見つかったが、そのほとんどは異なるDNA型を示し、多様なDNA型を持つC. jejuniやC. coliが食肉を汚染していることがわかった。タイの食肉の汚染率は日本の食肉と比べて低く、患者から分離されるC. jejuniやC. coliの陽性率も食肉の汚染率とパラレルであった。
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