研究課題/領域番号 |
21406014
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 陽 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20443989)
|
研究分担者 |
押谷 仁 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80419994)
神垣 太郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80451524)
|
キーワード | ウイルス / 感染症 / 微生物 / ネットワーク / 国際協力 |
研究概要 |
【研究目的】 インフルエンザウイルスがアジアから世界各地に感染拡大して行くとする"Sink Theory"が提唱され、アジアにおけるインフルエンザ流行検知の重要性が認識されるようになった。そこで、アジアの熱帯、温帯、亜寒帯と異なる気候を呈する地域において適したインフルエンザ対策を提唱する。 【研究成果】 抗体調査からみたインフルエンザの伝播について(モンゴル)モンゴルにおいて2009年の新型インフルエンザ流行前後の抗体価測定にて罹患状況を調査した。全研究対象の推定罹患率が23.7%(5090/21460)であり、その中でも2歳から9歳までの小児の罹患率が高かった。これは、人口が分散しウイルスの伝播条件としては適していないモンゴルにおいても新型インフルエンザ流行した事を示すと同時に、学童を中心としたインフルエンザ流行調査の必要性を示唆している。 流行規模調査について(モンゴルとフィリピンの比較)熱帯と亜寒帯におけるインフルエンザサーベイランスのあり方について検討を行った。まず、モンゴルにおいて、2008/2009および2009/2010のインフルエンザシーズンにインフルエンザ様疾患(influenza-like illness)サーベイランスを行った。インフルエンザ罹患率は、全年齢層と(2008/2009=9/千人、2009/2010=41/千人)比較して、1から4歳の小児が高い事(2008/2009=46/千人、2009/2010=128/千人)が明らかなった。一方、フィリピンでの2009年12月から2012年3月までに施行したインフルエンザ様疾患サーベイランスでは、一番多く検出されたのがRSウイルス(n=157例、10.8%)であり、それに次いでA型インフルエンザウイルス(n=113例、7.8%)およびB型インフルエンザウイルス(n=106例、7.3%)が検出された。フィリピンにおいては、この症候定義でサーベイランスを行ったとしても、RSウイルス罹患者が多いためインフルエンザの流行を把握する事が困難である事が明らかになった。よって、インフルエンザ以外に類似症状をきたす他の呼吸器感染症の同時流行の有無が、インフルエンザ様疾患サーベイランスの感度を規定していると考えられた。
|