研究課題
中国広東省職業病防治院で2004年から2011年に収集されたトリクロロエチレンによるHypersensitivity患者82名と、工場でトリクロロエチレン使用者でかつHypersensitivityを発症しなかった健康労働者131名を対象としてHLA-Bの遺伝子多型を解析した。HLA-Bの遺伝子型はエクソン2と3を解析した。HLA-B*1301多型を持つ者は患者軍55名(67%)、対照群8名(6.1%)で、明らかに患者群に多かった(p<0.001)。HLA-B*1525多型は患者群8名(9.8%)、対照群2名(0.4%)で、やはり患者群が高かった(p=0.013)。HLA-B*1302多型は患者群11名(13%)、対照群7名(5.3%)で、この多型に関しても患者群が多かった(p=0.034)。結局、HLA-B*1301、HLA-B*1302あるいはHLA-B*1525多型を持つ者が多いことが判明した。ところが、HLA-B*1501多型は患者群2名(2.4%)に対し、対照群は18名(14%)(p=0.09)、HLA-B*1501多型は患者群3名に対し、対照群10名(7.6%)、HLA-B:1511多型は患者群0、対照群10名(7.6%)、HLA-B*3501多型は患者群が1名(1.0%)、対照群が21名(16%)(p<0.001)、HLA-B*4001多型は患者群2名に対し、対照群は22(17%)名であった(p=0.002)。HLA-B*4601多型は患者群7名に対し対照群は27名(21%)であり、この多型も対照群に多かった(p=0.034)HLA-B*5101とHLA-B*5179多型は患者群それぞれ2名に対し、対照群はそれぞれ13名(10%)で、両者の間に有意差が認められた。対照群のHLA-Bの遺伝子型はHLA-B*1501、HLA-B*1502、HLA-B:1511、HLA-B*3501、HLA-B*4001、HLA-B*4601、HLA-B*5101およびHLA-B*5179多型が多いことが判明した。このように、患者群にはHLA-B*1301多型が多く、感受性遺伝子の候補として有力であることが明らかとなった。患者の血清TNFαとIL10値がカットオフ値を超えていた者、HHV6の再活性化していた者は患者群に多いことが明らかとなった。
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Environ Health Perspect
巻: 118 ページ: 1557-1563