研究課題/領域番号 |
21406017
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
市原 学 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90252238)
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研究分担者 |
若井 健志 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (50270989)
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キーワード | 1-ブロモプロパン / 中枢神経毒性 / 振動覚 / 労働衛生調査 / MRI / 多発性硬化症 / 量反応性 / 中毒症例 |
研究概要 |
1.ブロモプロパン中毒症例のフォローアップを行った。暴露と中枢神経障害との時間的関係が明らかにされたが、暴露終了後の障害の程度の安定性についてさらなる研究が必要である。これらの患者では、MRI上の変化が観察されているものの、多発性硬化症との鑑別が必要であるとともに、多発性硬化症様の病態が1-ブロモプロパン暴露によって引き起こされた可能性についても検討する必要があることが示された。新しい1-ブロモプロパン中毒症例では、末梢神経生検において神経変性が観察された。これは、ヒトにおいて初めて1-ブロモプロパンによる神経変性作用の病理組織学的証拠を示した例である。患者は1-プロモプロパン洗浄層を用いた金属部品の洗浄に従事し、高濃度の1-ブロモプロパンの暴露を受けていた。歩行障害が観察され、暴露終了後も歩行障害が持続した。これまでの症例解析のまとめでは、多くの1-ブロモプロパン中毒症例において、歩行障害、感覚神経障害、振動覚障害が認められうほか、持続する腱反射の亢進が一部に見られた。暴露後において、抑うつ、認知機能低下などの症候が見られるものもあった。1-ブロモプロパンは洗浄剤としての使用の他に、ドライクリーニングの溶剤として最近米国では使用されるようになってきている。こうして1-ブロモプロパンに一般市民が暴露される可能性があることから、ヒト中毒症例のさらなる解析に基づいた疫学研究が必要である。
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