研究課題
南アジアの島国・スリランカでは1990年代より、セイロン島中東部、中北部および周辺地域において、慢性腎不全が急増してきており、社会問題になっている。環境科学の面から、慢性腎不全への寄与を推定し、近年の急激な患者の増加の原因を検討する。また腎不全患者の病理学的所見の集積を行い、発症原因を探索するとともに、未発症の住民についても腎障害の生化学検査を行い、腎症の広がりと腎不全への進行にいたる病態の解明を行うことを目的とした。スリランカにおける慢性腎臓病の疫学を行い、KDOQIによる病期の進展について予後調査を実施した。多発地域において、カルテ調査を実施し、後ろ向きコホート研究を行った。高血圧の管理により、病期の進行が影響を受けることを明らかにした。遺伝要因の解析では疾患感受性要因をゲノムワイド相関研究により検討した。多発地域において症例、対照者を300名募集し、マイクロアレイによる遺伝子多型のタイピングを行い、関連座位を特定した。病理学的検討では腎組織の構造の変化を検索し、血管障害による糸球体障害が疑われた。尿タンパク陰性であっても腎障害バイオマーカーが高値である検体も見られ、散発的な障害が長期にわたり慢性腎臓病にいたるプロセスが示唆された。このように疾患の基礎的な特徴を明らかにでき、疾患の原因が血管障害であり、血圧の局所的な増加による部分的な糸球体障害から発生することが考えられた。今後、疾患の予後を改善するために、患者の血圧管理を徹底することが有効であると考えられた。
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http://hes.med.kyoto-u.ac.jp/SriLanka/index.html